HEMS時代だから、フェミニティを学ぼう

明日の個別・集合住宅の省エネを支えるHEMS

新時代の電力管理システムであるスマートグリッドが安定した電力供給に欠かせないことものとなってきています。今回は家庭の中のマネージメントシステム=HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)の中核となる制御システムである<東芝フェミニティ>を中心にご紹介しましょう。

もう一度、HEMSとは何かを復習しましょう

HEMSとは何かをおさらいしておきましょう。

HEMSのポイントは、家単位であること。「見える化」。一軒ごとの電力需要の最適化の3つです。

具体的に見てみましょう。電力供給には引込み電力と太陽光発電システムなどの自家発電機器があります。電力消費するものとしては、いわゆる家電製品があります。また、駐車中の電気自動車(EV)のように電力消費と電力供給の2つの働きをする機器もあります。これらを相互に信号接続することで、どれだけ電気を使い、どれだけ自家発電し、どれだけ電力会社から電気を引き込んでいるのかを簡単に知ることができるようになります。これが電気の「見える化」です。

今後メーカーにより開発される予定のスマート家電を使うと、使用中の過度な電力消費を抑えることができるなど、さらにHEMSの長所が発揮されます。このような電力の消費と供給の相互制御により、電力需要が一軒ごとに最適化されます。そして、その情報は、刻々とフェミニティ、スマートメーターなどを通じ、地域の情報管理センターに送られます。これにより街全体の電力需要を最適化することも可能になるというのが、HEMSの特長です。

HEMSを実例で考えてみましょう

HEMSの実際例としては、エアコンを運転中で、消費電力の大きいIHクッキングヒーターや電子レンジを使用したとします。契約電力が少なければブレーカが落ちることになりますが、こんな時でもHEMSシステムがあれば自動的にエアコンをOFFにすることもできます。また、家庭内に蓄電池があれば、足らない電力を補助することも可能です。もちろん蓄電池としてEV(電気自動車)のバッテリーと連動することもできます。

こうした電気の消費・供給状況を「見える化」によって、ご家庭内の誰もが目で確認することができます。「見える化」の効果は、遊び感覚で省エネを奨励し、実際に10%前後の省エネ効果が見られると言われています。

オフィスビルなどでこうした制御システムを導入すればBEMSですし、工場で行えばFEMSと呼ばれます。BEMS、FEMS、HEMSの各監視・制御システムを統合したものがスマートグリッドであり、それを活用した街づくりがスマートコミュニティと呼ばれます。

先ほどの例でいえば、夜間になり工場エリアやオフィスエリアでの電力使用が減ると、余剰の電力を住宅エリアに回せますし、照明点灯が多くなって街全体での使用が多くなるようであれば、住宅エリアの電力使用を制限し、各住宅に備えられた蓄電器から電力を供給させることも可能になります。

動き始めているHEMS

昨年夏ほどではないとしても、今冬もピーク時の電力抑制が必要だと考えられます。「省エネにいかに対応するか」はこれから何年も続く大きな問題です。個々の事業所、住宅単位で省エネしても、思わぬところで電力消費のムダは発生しているかも知れません。湯水のように電気を使っていた時代から、供給される電力を有効に配分することが求められる現代では、HEMSの誕生はまさに夢のシステムといえます。

現在、横浜ではHEMSの社会・実証実験として横浜スマートシティプロジェクトが進行中です。これには(株)東芝、東京電力をはじめ関係する多くの企業が参加し、近い将来の実用化策を研究・検証しています。

スマート・グリッドの社会実験としては、経済産業省の「スマートコミュニティの実現に向けた政策展開」(平成22年12月)に詳細があります。それによりますと、上記の横浜の他に、北九州市、京都府けいはんな学研都市、愛知県豊田市がそれぞれ所定のCO2削減目標を掲げて実証実験を開始しています。エネルギーマネジメントシステムの実証にだけでなく、交通システムやライフスタイルの変革、地域レベルでのエネルギーマネジメントシステム(EMS)と電力ネットワークの補完関係の構築、大規模なデマンドレスポンスやデマンドコントロール、きめ細やかなエネルギーマネジメント、HEMSや電気自動車の有効活用といった汎用的な技術について実証を行っています。

もちろん、このような大規模実験だけでなく、私たちの身近なところからHEMSは着々と進められています。省エネ対応としてHEMSを導入したマンションは即日完売と販売好調です。HEMSを備えた戸建て住宅・マンション=いわゆるスマートハウスに参入する企業も増えています。将来のEV(PHV)時代を見据えてか、トヨタや日産など自動車各社も参入しています。さらに家電量販店のヤマダ電機も中堅住宅メーカーを子会社化し、省エネ家電や太陽光発電など組み合わせたスマートハウスを提供し始めました。また、不動産会社と提携した住宅開発プロジェクトに参加する電器メーカーや、海外への展開を視野に入れた電器メーカー同士が協業を進めるなど新しい動きも活発化しています。(敬称略)

太陽光発電システム、HEMS、電力スマートメーターなどスマートハウス関連製品・システムの世界市場は18兆5千億円と膨大です。国内のスマートハウスで見ると、平成32年には20兆円市場に成長するとの経済産業省の試算もあります。電力監視システムに限っても現在は約5億円程度(富士経済研究所調べ)ですが、将来的には100億円程度に成長すると予想されています。

そうした市場予想がある一方、さまざまな課題も指摘されています。通信プロトコルの共通化・規格化のような技術的な問題からエンドユーザーのプライバシーの問題まで法的な整備も踏まえた推進協議会が必要とされています。

そこで(株)東芝をはじめ電力各社、電器メーカー、通信会社など10社が、HEMSの普及を目的として平成23年7月にHEMSアライアンスを結成しました。これによりHEMSの課題を解決し、標準化を推進しようというものです。

また通信規格としては「エコーネット規格」も誕生しました。異なるメーカの家電機器を接続し、家屋の新築、既築を問わずに敷設の容易な伝送媒体を使用して、さまざまなサービスの提供を実現するための共通の通信規格であると謳われています。

課題はひとつずつ解決されています。環境の整備により、HEMS実現に欠かせないスマート家電を導入する素地も整ってきました。住宅個々の電力情報を地域の情報の一部として活用できるようになってきたと言えます。